韓国語で大学を受験し,履修を組んだ話
お久しぶりです。数年ぶりにはてなブログにログインしようとしたらIDを完全に忘却していてなかなかログインに手こずりました。いつの間にか大学生になってしまったので,ここまでにあったことをつらつらと書き連ねてみたいと思います。
簡潔に言うと,センター試験で韓国語を解き,東京大学に入学して既修外国語を韓国朝鮮語にするよう申請したところ受理され,半年間授業を受けました。
入試
大学生になる前に多くの人が経験することがあります。そう,大学入試です。韓国語で大学を受験するにあたって,いろいろ書き連ねてみようと思います。
教材
韓国語をしっかり勉強したのは中学3年間に詰め込んだ感じで,とくに受験期に受験勉強としての韓国語はやりませんでした。過去問解いてみるくらいですね。というわけでしっかり消化した教材を紹介していこうと思います。(積読が多数あることを示唆する表現)
入門編
- ナツメ社『CD付き 文法から学べる韓国語 初級パーフェクト版』
入門はここでした。中1の7月くらいに初めて中1の末とかに終わらせたのかな。「文法から学べる」に惹かれて買ったけど,もっとしっかり文法教えてる教科書なんていくらでもあるし教材選び若干ミスった感はあります。でも当時の自分は別に語学オタクではなかったからこれくらいでちょうどよかったのかも。結構雰囲気ゆるいです。あ,でも最初に発音変化全部詳しく述べられてたのはかなりよかった気がする。入門書みんな一応ハングル教えてすぐ発音変化も教えてるのかもしれないけど。
上の本と同時並行で短期集中でこれ詰めまくってました。飽き性なので単語帳としてこれに取り組むのは8割くらいやってやめちゃった気がする。今思うと結構これ中上級じゃない?って単語まで入ってた気がしますが,その分これを最初に詰めたのはかなり力になった気がします。気がします連発してておしまい。
- アスク出版『できる韓国語 初級Ⅱ』
これはなんか買ってすぐ最初の不規則活用と連体形の作り方だけやって積んでたらいつの間にか残りの文法事項かなり知ってました。積んでる間何してたかというと,最初はK-POPへの興味から韓国語始めたんですけどK-POPへの興味はすっかり薄まり,もう完全にオタクの顔つきになって韓国版のアニメ見まくってましたね。샤이닝스타とか신비아파트とか캐릭캐릭체인지(しゅごキャラ)とか아이엠스타(アイカツ)とか꿈빛파티시엘(夢色パティシエール)とか학원앨리스(学園アリス)とか프리파라(プリパラ)とか반짝이는 프리채널(キラッとプリチャン)とか。最初の二つは公式YouTubeチャンネルがあって本編を無料公開しています。あとはどうやって視聴したか聞かないでください。ちなみに샤이닝스타の歌はほとんどがSM所属のアイドルの曲で,aespaデビュー前のSMの練習生が歌っているので,つまりカリナとかニンニンが先輩の曲をカバーしています。
あとハン検3級の過去問一度買って解いてみたこともあったな。大体解けたのでこれはあんま意味なかったかも。
TOPIK編
高1春にTOPIKを受けてみたらなんか듣기 98 쓰기 79 읽기 100で6級取れちゃいました。過去問やっててここまで行ったことなかったので듣기と읽기の異常な高得点は運がよかっただけですね。
- 韓国国立国際教育財団『第35回+第36回+第37回+第41回 韓国語能力試験過去問題集 TOPIK II』
試験受けるならまあとりあえず過去問解いてみるよな~ってノリで買ったんですが,TOPIKの過去問って全部公式サイトで公開されててその場で採点してもらえるのでマジで買う意味なかった。
なんか文字数稼ぎの技法を学んだ気分。内容がそんななくても点数来るらしいっていうのを読んでやってたらなんか本当に点が来ちゃった。表現に迷うことはないので自分は立ち読み程度で得られる情報量しか学べませんでした。
大学入試編
- センター試験・共通テスト過去問
大学入試センターの公式サイトに毎年更新されるのを毎年解いてました。最初に解いたのが中3の1月だったかな?高1からは毎年共テ当日に問題速報待って解いてました。追試も。そういうお楽しみ感覚で解いてたので受験勉強用ではなかったです。
- 白帝社『韓国語 大学入試センター試験対策問題集』
高3になって真面目に共通テストを韓国語で受けようと思うと,やっぱり過去問演習は積まなきゃと思って昔の過去問を探し求めたらありました。ただ高いし年度によって在庫もあるかどうか……出版社のサイト飛んだらかなり在庫ないっていうし。なので出版社に直接メールして在庫がある年度を問い合わせて,紀伊国屋書店でオンラインで買いました。平成17・18・19年度版,平成19・20・21年度版,平成23・24・25年度版を買ったんですが,在庫の関係でどうしても重複なく選ぶことは難しかった……できるだけ演習は積みたいので苦肉の策。でも共通テスト韓国語は語法問題・漢字問題が減った分センター試験に比べて格段にやさしくなったので,最終的には共通テスト対策ってより東大差し替え対策って気持ちでやってました。でも高かったですねこれ。問題3回分だけで1980円。対して共テ英語の過去問。21年分で880円。問題単価15.75倍らしいです。ふーん笑
- HANA『hanaの韓国語単語〈中級編〉』
中級レベルの語彙の漏れはなくそうと思って高1あたりに買って積んでいた単語帳に高3になって今更慌てて取り組みはじめました。受験生なのに単語帳をAnkiに打ち込んでいた謎の時間。結局今でもこれ1冊完璧になったわけではありません。まあでも意味は……あったのかな……?
- 差し替えの過去問
東京大学の二次試験では,外国語を英語で受験しても大問4・5を英語の他に中国語・フランス語・ドイツ語・韓国朝鮮語で受験することができます。私は当初この差し替えを利用することを考えていました。文法に注視する精読と長文読解を要求する英語の大問4・5を解くのに比べ,短い文章の全文訳と簡単な語法問題が10問あるだけの韓国朝鮮語の大問4・5を解くと大幅に時間短縮となるためです。その時間を大問2の英作文に割こうかな~とか考えてました。まず問題形式知らないとこんな考えできないしどこから問題入手したのか言わないとね。塾の先生に差し替え考えてるんですって相談したらいただけました。2012年とかまでの赤本には当然解答はありませんが差し替えの問題も載っていたそうです。
共通テスト
出願時に追加の問題用紙の配布を希望するにチェックを忘れないようにしよう。出願時には何語で受けるか申告するのではなく,外国語の試験のときに全員共通で配られる英語の問題用紙の他にフランス語・ドイツ語・中国語・韓国語の問題が載った別冊問題用紙の配布を希望するか申告します。もちろん端から英語を受けるつもりでも申告してかまいません。ほかに問題用紙の別冊配布があるのは数学②の簿記と情報関係基礎でしたがこれは自分たちの代で最後だったみたいです。
別冊問題用紙の配布を希望すると,自分が受験した会場では業務の円滑化のためにそういう人たちは若い受験番号にまとめられていました。教室の真ん中の列は3人掛けの机に2人で座っていたのに対し,両端の列は2人掛けの机を占領できたので他の科目でも机をのびのび使うことができたのはラッキーでしたね。
そしてついに外国語の試験の時間がやってきます。まず順番に解いていくと大問2にクソむずい並べ替え問題(というよりダミー語をはじく)がある。별 이상한 소리とか얼마든지 간에とか知るかっての。このとき今からでも英語解き始めようか迷いましたもんね。上述のように解答する言語はその場で選ぶことができ,英語の問題用紙は全員に配られています。試験が終わってみると今年の英語は難化というより時間が厳しかったらしいので途中から英語解こうとしなくてよかった。
一通り解いたらかなり時間余ったので他の言語の問題見て遊んでました。そしたら自己採点したら「これは……月曜日が答えだな」と思いながら思いっきり일요일(日曜日)にマークしていたことが判明。かなり悔しかったです。みんなは時間余っても余裕ぶっこいてないでしっかり見直ししようね。183点。
ちなみに英語以外はリスニングがないので少し早く帰れます。2日目に向けて理科基礎最後の復習するなりゆっくり休むなりしよう。
今度はこの自己採点183点が事件を引き起こします。共通テスト翌日,自己採点結果を共テリサーチやらなんやらに記入するために登校します。さて外国語の記入欄は当然リーディングとリスニングに分かれています。どうしよう。一社はこのように指示していました。得点を2で割った値を記入すること。ただし端数はリーディングに入れる。なるほど。もう一社はこうなっていました。それぞれに得点を2で割って切り上げた値を記入すること。マジで!?得点奇数だったから合計得点1点漏れちゃうけどそれでいいの!?いや~1点盛っちゃうけどしょうがないな~wそういう指示だもんな~wと思いながら記入しました。
二次試験
まず東京大学の二次試験より先に早稲田大学での悲劇を紹介しようと思います。早稲田大学の一般入試には外国語を英語の他に中国語やフランス語,ドイツ語,韓国語で受けられる学部もあります。各言語で個別試験を課している場合もありますが,たいていの場合は英語なら個別試験を受けるところを共通テストの得点を換算することで代用します。ところが注意すべきはこの換算方法が不透明だという点です。私は共通テスト韓国語183/200が文学部で48.697/75に換算されていました。自分の場合これは英語の試験を受けた方が高得点が期待できました。それでも国語と世界史が壊滅的だったので不合格に変わりはなかったと思いますが。
そしてやってきました東京大学二次試験。ここで私はみなさんに謝らねばならないことがあります。私は結局大問4・5も英語を解きました。試験が始まったらまず問題用紙を裏返します。韓国朝鮮語の問題は問題用紙の末尾にあるからです。そして大問5に目を通します。わからん。試験場で焦ると할까 봐くらいの簡単な表現も思い出せなくなるんですね。もとより大問5をコンプリートできないなら英語を解こうと思っていたので,ここで英語を解こうと決心しました。入試は入試です。差し替え解いたったwって逆張りよりまずは点を取るのが大事です。それでも大問4の文章は読んでみました。知らん単語多いな……英語解こ……
この予定変更によっても事件発生。共通テストの場合と同じく,大問4・5でどの言語を解くかもそもそも試験時間中に決めることとなっています。解答用紙上のマーク欄の他に,ミシン目がついている解答用紙の規定部分を切り取ることによって解答した言語を表すのですが,このとき私はなんと韓国朝鮮語の部分を切り取ってしまいました。まだ諦めきれていなかったようです。しかしもうすでに英語の解答を書いている……!ほんの少し焦りました。試験終了後,試験監督に誤って切り取ったことを述べると,また英語の部分を切り取ればいいと言ってくれました。それだけでよかった~。
入学手続き
3/10,合格発表と同時に入学手続きが始まります。東京大学では二つの外国語(うち一つは既修のもの)が必修となっており,入学手続き時に希望する外国語を申請します。が,既修英語+初修外国語以外の組み合わせを希望する場合は,既修と呼べる水準に達しているか検証するために13日とかまでに電話で相談する必要がありました。期間が短い!入試で英語の点数がどんなに悪くても英語は既修として扱われるのにね。おかしな話だね。
ちなみにとりあえず既修外国語を英語以外で希望すると意外にラッキーなことがありました。希望する初修外国語は2つ選択する必要があり,どちらになるかは分かりません。どうしても一つに絞りたい場合は志望理由書を書く必要があったのですが,なんと既習英語以外の場合は2つとも同じ言語を記入していいとのことだったのです。自分は絶対中国語がよかったので,ラッキーと思い両欄中国語を選択しました。
自分は14日に電話で簡単な面接を受けました。자기소개를 간단하게 부탁드립니다.(自己紹介を簡単にお願いします)と도쿄대학에서 어떤 것을 공부하고 싶으세요?(東京大学でどんなことを勉強したいですか)だけでした。しかし,東大生の知り合いに聞くと,この面接を担当していただいた方は成績評価がとても厳しいと有名らしく,まさか既修審査にすら落ちたのではないかと若干不安な日々が続きました。
そうこうして21日,ついにクラス発表の時です。履修決定外国語欄を見ると……「韓国朝鮮語(既修)」の文字が!とりあえず一安心です。東京大学には履修する外国語によってクラスを分けるクラス制度あるのですが,初修中国語のクラスに所属することとなっていました。ちなみに基本はみんな既修英語なので初修外国語によってクラスが分かれるのですが,既修中国語・フランス語・ドイツ語の場合はこの人たちはみなインタークラスと呼ばれるクラスに所属することとなり,既修外国語でクラスが決まることになります。
Learn more: 既修ロシア語のひと
yuyusuki.hatenablog.com
履修登録
これは孤独な戦いになります。他の人がクラス指定科目の英語一列やら英語中級やらの授業をいろいろ見ている間,自分はせっせと韓国朝鮮語中級・上級の授業をあさります。しかもただみんなに合わせるというわけにもいかないので,自分の既修外国語の履修方法がこれであっているのか確証が持てません。1年が終わるまでずっと不安です。たぶんとりあえず1年の間に韓国朝鮮語中級・上級を8単位4コマ取ればいい……んだよね……?そういえば,英語一列・二列は制度上既修英語の人向けの授業なのでそうでない人は履修できないけど,英語中級の方は総合科目なので誰でも履修できます。そもそもが抽選な上にけっこう教員ガチャって聞くから,進振りの点を考えた時にあんまり履修するメリットない気もするけど……
Learn more: さっきと同じ人
yuyusuki.hatenablog.com
授業
孤立!!!クラスのみんなが英語一列やらFLOWやらALESAやら英語中級やらの愚痴を共有する中に自分だけついていけません。こっちは楽だけどみんな苦しんでてかわいそうに……くらいの目線で見るしかできない。だって本当に楽なんだもん。
自分は韓国朝鮮語中級(読解)と韓国朝鮮語上級(作文)を履修しました。前者は課題だけで評価をつけるので出席する必要がなく,きちんと課題に取り組んでいれば基本みんな優くれるっていう先生。課題は毎回和訳してA4で2枚くらいになる韓国語の文章の和訳でした。ニュース記事とか。楽だけどただただ面倒だった。あと進振りの希望学科的に優では飽き足らず少しでも優上がほしい……後者はネイティブの先生による添削がメインって感じの授業でした。毎週の宿題は韓国語で1000字程度の作文を書いてくるだけ。この1000字って韓国語の分かち書きのスペースを含んだ文字数なので,ほんとうにすぐに埋まりました。予習の必要もなし。楽!成績評価に試験もない!
そういえば中級読解の方の基本優くれるっていうのは進振り競争でかなり有利に働きます。東京大学には優三割規定と呼ばれる優以上の成績は履修者全体の3割程度にすることという示し合わせがあるのですが,これは履修者がある程度多い授業に適用されるものであり,履修者が少ない授業はその対象外だからです。つまり,多くの人は既修外国語の授業で優三割規定が適用されるため,よい評価を得るには上位3割に入り込む必要があるが,他の外国語だと授業の履修者が少ないためこれが適用されず,履修者内で相対的な競争をする必要なく優を得ることができます。つまり点が取りやすい!
以上,入試から1Sセメスターまでを振り返ってみました。これから英語以外の外国語で大学を受験する人や,東京大学で既修ロシア語・イタリア語・韓国朝鮮語・スペイン語を検討している人の助けになればうれしいです。